Yamabun-Blue/碧。
この碧は山文製陶所だけの色です。 複数の釉薬をかけ合わせ、その重なりによって生まれます。 窯の中の雰囲気によって、少し緑系によったり、紫系によったり、青でも明るい青や暗い青。なかなか安定して出すのが難しい色です。 納得がいく色が出てきた時にはしばらく眺めてられます。 山文製陶所では、これまでいろいろな色を生み出してきましたが、この碧は代々伝わる海鼠釉と比べても遜色ない色だと思っています。 いろいろな販売店さんで扱って頂いております。 手洗い鉢、めだか鉢、傘立、花器などいろいろありますが、どこかでこの碧を実際に見て頂けたらうれしいです。 |
こちらが海鼠釉。
確か明治時代から信楽でこの釉薬が流行り始めたと思います。 最初は1軒の窯元がこの釉薬を使い始めたようで、それがよほど評判になったのか、他の窯元もこぞって見様見真似で海鼠釉を作り使うようになったらしいです。 山文製陶所でも同じように海鼠釉を使っていました。今、私は5代目ですが3代目の祖父の時には、山文の海鼠は信楽で1番と言ってもらえた時もあったらしいです。私が信楽窯業試験所に大物ロクロの技術を習いに行っていた時、試験場の職員の方から祖父の時代のお話をいろいろ聞かせて頂きました。その海鼠釉の調合が今に伝わっています。 今よく使われているのは1色海鼠と言って、1種類の釉薬だけ掛ければ海鼠の色が出る釉薬です。山文では2色海鼠を使っています。2つの釉薬を重ね合わせて奥行きのある色を表現します。今は大きい窯は主にガス窯の時代ですので、窯の中の温度も安定しますが、登り窯の時代は窯の中の温度も場所によっての違いも大きかったようで、強く炎が当たる場所は溶けにくい海鼠、炎が当たりにくい場所は溶けやすい海鼠と、とても複雑な使い方をしていたようです。 |